競売と担保権消滅と設定
会員業務研修会でのレジメです。
平成22年12月11日
永田廣次
「競売物件買受人の銀行ローン活用のための手続き」
1 競売案件の増加
良好物件の仕入れ不動産業者多数 競争入札
2 スケジュール
競売許可決定
その後代金納付期限通知書
競落人から設定依頼
3 代金納付による登記の嘱託等
(1)書記官による登記嘱託
① 買受人の移転登記
② 担保権等抹消登記
③ 差押え又は仮差押えの登記抹消
上記3個の登記を一括して1個の嘱託書によってなされる
(2)(根)抵当権設定
4 代金納付と同日の担保権設定
(1)担保権設定の依頼
代金納付と同時か、後日か
(2)同時の場合
民事執行法82条手続きが必要
通常の流れ
① 競売人の担保権設定手続き
② 金融機関内部の手続き
③ 裁判所代金納付原則5日前に福井地方裁判所競売係に提出
少なくとも受任し代金納付迄約10日間必要
5 代金納付前手続き(補助者でよい)
(1)民事執行法82条2項の規定による申出書[書式例92]
(買受人の印鑑は、入札書作成印)
添付書面
① 住民票又は資格証明書
② 買い受けた不動産の登記簿謄本(最近のもの)
③ 買い受けた不動産の固定資産評価証明書(登記申請用)
④(根)抵当権設定契約書
(2)指定書[書式例93]
6 代金納付日の手続き
(1)買主と同行
(2)会計課と競売係(福井地方裁判所)
(3)会計課での手続き
① 銀行で振込手続済みの「保管金受入手続添付書」
(事前に裁判所から送付されてある振込先は印字済み)
早めに振り込んでいただく
②「保管金提出書」(記名押印したもの)
(事前に裁判所から送付されてある)
③「保管金受領証書」の交付を一旦受ける
(4)競売係での手続き
① 司法書士自ら出頭する。会員証を提示し本人確認される。
② 会計課で受領した「保管金受領証書」を交付する。
(コピーを取られ返却をうける)
③ 「売却代金・登録免許税等納付書」(事前に裁判所から送付されてある)と収入印紙(合計金額でよい)・郵便切手等を提出する。
④ 「受領書」[書式例94]を提出する。
⑤ 書記官から登記嘱託書の交付を受ける。
(5)登記手続き(オンライン申請は不可)後
① 「届出書」[書式例95]を書記官に提出
平成22年12月11日
永田廣次
「担保権消滅許可手続きと売買・設定手続き」
1 担保権消滅制度(改正破産法186条以下)
(1)破産財団物件の任意売却と担保権消滅
(2)任意売却のメリット
管財人からすれば換価手続きを早期に解決
売却代金を破産財団に組み入れることができる
別除権者にとっても、担保権実行より高額で換価できる
競売費用が不要
(3)任意売却が円滑に実現しない場合
①破産管財人と別除権者の合意が至らない場合
②後順位の担保権者が高額の担保抹消料を要求
このような場合にも、任意売却が実現できるようにするため、改正破産法では、別除権者が不当な損害を被らないように配慮しつつ、破産管財人の申立てにより、破産財団に属する財産について、その上に存する担保権を消滅させて任意に売却する制度が設けられた。
2 管財人による担保権消滅許可申立て
売買契約書添付
(売買契約は、あらかじめ、担保権消滅許可決定の確定を停止条件として締結される)
(売買契約書には、組入金額、破産裁判所納付金額が記載されてある)
3 担保権消滅
破産裁判所による許可決定が確定した後(通常担保権者に対する告知後1週間の不変期間(改正破産法13条・民事訴訟法332条))、売却の相手方は売却金から組入金を控除した額を破産裁判所に納付する(190条1項)。この納付の時点で、担保権は消滅し、担保に係る登記も抹消される(190条5項)。
組入金とは、売得金の額から破産財団に組み入れようとする金銭の額をいう(186条1項)。
4 担保権消滅許可手続きと買受人の売買手続き
(1)買受人の売買手続き
担保権消滅許可申立て手続きにおいて売却予定者とされた買受人と売買する。
売買契約は、あらかじめ、担保権消滅許可決定の確定を停止条件として締結される。
(2)売買代金の支払い方法は、
①破産管財人に対し、組入金と契約費用や建物消費税等を支払うとともに
②裁判所に対し、組入れ金控除後に相当する金銭を納付する。
②の納付した時に買主に移転し、担保権消滅する。
実務は、①②の順序で売買の決済を行う。
管財人は、組入金を交付すれば、所有権移転登記手続きを行う。
(3)担保権抹消は、書記官による嘱託登記(10条⑤)がなされる。
(4)売買による移転登記の添付書面
登記原因証明情報
破産管財人の委任状
破産管財人選任書
破産管財人の印鑑証明書
担保権消滅許可書
5 「武生等(福井地方法務局本局以外)管轄物件」代金納付前手続きと代金納付日の手続き
(1)担保権設定を同時に行う場合
(2)代金納付前手続きと代金納付日の手続きを民事執行法82条2項の規定に準じて行う(運用)
(3)金銭納付期限通知書
買受人に対し、破産法190条第1項第1号、同法186条第1項第1号に定める金銭の納付期限と納付するべき金額を通知(組入金控除額)
5-1 代金納付前手続き(補助者でよい)
(1)民事執行法82条2項の規定に準ずる申出書
(福井地方裁判所破産係)
(買受人の印鑑は、入札書作成印)
「破産法190条第5項の規定による登記の嘱託を、民事執行法第82条第2項に準じて、申出人の指定する下記の者に嘱託書を交付して登記所に提出させる方法によってされたく、申し出します。」
添付書面
①(根)抵当権者の資格証明書
②(根)抵当権設定契約書写し
③売買契約書写し
(2)指定書
5-2 代金納付日の手続き
(1)金銭納付期限通知書
買受人に対し、破産法190条第1項第1号、同法186条第1項第1号に定める金銭の納付期限と納付するべき金額を通知(組入金控除額)
(2)買主と同行
(3)会計課と破産係
(4)会計課での手続き
① 銀行で振込手続済みの「保管金受入手続添付書」
(事前に裁判所から送付されてある 振込先は印字済み)
②「保管金提出書」(記名押印したもの)
(事前に裁判所から送付されてある)
③「保管金受領証書」の交付を一旦受ける
(5)破産係での手続き
① 司法書士自ら出頭する。会員証を提示し本人確認される。
② 会計課で受領した「保管金受領証書」を交付する。
(コピーを取られ返却を受ける)
③「登録免許税納付書」(事前に裁判所から送付されてある)と収入印紙を提出する。
④ 「受領書」を提出する。
⑤ 書記官から登記嘱託書(担保権抹消)の交付を受ける。
(6)登記手続き後
① 「届出書」を書記官に提出
6 「福井地方法務局本局管内物件」の手続き
従前は、書記官と法務局で待ち合わせ担保権抹消の嘱託登記と移転、設定を連件で申請した。